学士編入試験の論文の読解対策として実践したことを紹介します。
医学の英語論文を読めるようになるためには
医学論文を読めるようなったきっかけは、以下の通りです。
- 医学論文の構成を知る
- 医学英語論文でよく使われる表現や単語を知る
- 一度、全文を和訳してみる
医学論文の構成を知る
医学論文は、多くの場合で論文の形式が統一されています。論文の構成を知っておくことで、どこに何が書かれているか予想できるようになります。
医学論文の構成要素は以下の通りです。
- Title 「論文のタイトル」
- Introduction 「背景」
- Methods 「方法」
- Results 「結果」
- Discussions 「考察」
- Conclusion 「結語」
Title(タイトル)には何が書かれているか
論文のタイトルには、その論文の一番のテーマが書かれています。未知な事実を発見し報告する論文の場合は「〇〇と××の関係性」と書かれていることもありますし、有力なジャーナルほど、キャッチ―で人目を引くようなタイトルの場合があります。総論の場合は、その分野の名前が書かれていることが多いです。
経験的には、論文のタイトルだけでは書かれている内容の予測はつきませんが、その為に、各論文には、アブストラクト(Abstruct):要旨という1000~1200字くらいの要約がタイトルの下に書かれています。真面目に全文を読んでいたら時間が無いですので、研究者の多くはアブストラクトをさっと読んで、全文を読むかどうかを判断しています。
学士編入試験においては、このタイトルは、これから読まされる長文の大まかなテーマを知ることに繋がる程度でしょう。
Introduction(背景・導入)には何が書かれているか
Introductionには、その研究を行った背景になった事実について書かれています。研究とは、未知な知識を解明することでその価値が高まります。未知を知るには、この世界でどこまで解っているのかを整理する必要があります。Introductionでは、そういった既知の情報が書かれています。
つまり、Introductionには「事実のみ」が書かれています。
学士編入試験においては、正誤問題が問われる場合があります。特にこのIntroductionに書かれている内容は既知の事実として書かれている為、この段落に書かれている内容が問われてる場合は、事実の内容として理解して解答することが良いはずです。
Methods(方法)には何が書かれているか
Methods(方法)には、その研究をどのように実施したのか書かれています。他の研究者が、この方法を真似して実験した場合に、同じ結果が再現できますよ。という意味が込められて書かれています。Methodsには対象、実験方法、統計解析について書かれることが多いです。
対象とは?
実験対象として誰を集めたのか、健常人、患者さん、ラット、マウス、培養細胞様々です。
実験方法とは?
実験のプロトコル(どのような条件で測定したのか)、使用した試薬は何か、PCRやウェスタンブロットの設定などが書かれています。
統計解析の方法?
実験結果として、違いがあった、あるいは違いが無かったかについて、科学的に証明する方法として統計解析があります。ある実験において、結果に差があったことを統計学的に示すことができれば、この世界の研究者は納得してくれます。もちろん世界の科学者や研究者は、統計解析の盲点も熟知していますので、その解析手法ではだめだよねとか、その実験の測定値の差の場合は、対象者数は多くないとだめだよねとか熟知しています。論文に掲載されているという事は、こういった有識者の査読を通過していますので、我々一般人にとっては、多くの場合で差があったんだなという解釈で良いはずです。しかし、我々一般人においても、「統計学的差があった≠大きな差があった」と解釈し、勘違いしてはいけないでしょう。
「統計学的に差があった」は、必ずしも「効果に大きな差があった」という事ではない。
例えばですが、感染症に対する効果が示されて、認可が下りたお薬の中でも、その効果自体は、「発熱した日が一日短くなった」という程度のお薬の場合もあります。
つまり、統計学的に差があることが証明されたということが、必ずしも効果が大きかったというわけではないことを理解しておくと良いと思います。学士編入試験においても、同様の理解を持っていることを確かめるための出題意図の問題もあるはずです。
Results(結果)には何が書かれているか
Resultsには、この研究で得られたデータがグラフや表として書かれています。さらにどの項目には、時計学的な差があったかについても書かれています。Resultsには、新たに解明された事実が書かれています。そして過去に他の人が同じ検討を行った研究論文は、採択されませんので、このResultsに書かれている内容は、この論文でしか書かれていないことになります。
Resultsにはこの研究で新たに発見された事実が書かれている。
学士編入試験においては、このグラフを正しく理解する力が求められますが、グラフの読み方については、いつか別で書きたいと思います。グラフや表の読解は、二次試験の小論文などで求められる力でもあります。小論文対策として参考書を探すこともおすすめします。
Discussion(考察)には何が書かれているか
Disccussionを読み解くのは、結構大変です。よく整理して書かれているDiscussionは、読むのも理解するのも容易いので、試験問題には適しませんし。どのようなDiscussionにも共通して言えることは、研究で明らかになった事実を過去の論文でも裏付けをして、結果を強く証明している。あるいは、研究限界があって、実験データだけでは証明しきれなかった部分を過去の他の論文で補うことで、結果の妥当性を主張している。この二点が書かれている内容です。
例えば、
「今回の研究結果ではこういう結果だった」、「過去の論文でも条件はわずかに違うが、同様の結果が得られている」、「したがって、我々の実験結果は妥当だと判断できる」
という風に書かれていることが多いです。他にも
「今回の実験では、この部分については、実験での証明が困難だった」、「しかし、過去の論文では、こういった事実が証明されている」。「したがって、我々の研究結果は研究限界はあったもの事実であったと推測できる」
という風に書かれることが多いと思います。こういった過去の論文を根拠として持ってくることで、自分の研究結果の信憑性を高めるような書き方を、「テクニカルライティング」といいます。
学士編入試験としては、この研究の研究限界はどのようなことか?、筆者の主張とその反論意見は何かといった内容についてヒントとなることが書かれているはずです。
Conclusion(結語)には何が書かれているか
Conclusion(結語)は、とてもシンプルに書かれていることが多いです。この研究で最も筆者が主張したかったことが書かれています。
学士編入試験や論文読解の際には、一番はじめに読み、筆者の主張を理解することに繋がります。筆者の主張があらかじめ分かった状態で読み進める方が、圧倒的に理解が深まりますし、筆者の主張と反論も整理しやすくなります。
Conclusionは一番初めに読む
最後に
医学論文の構成要素を知っておくだけでも、読むときの難易度が下がります。何本も読んでいくうちに理解できるようになる部分ではありますが、初学者にとっては、はじめが一番大変なことが多いでしょうから、参考になりましたら幸いです。
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